2026年10月から義務化される就活セクハラ防止措置 — 採用選考で企業が準備すること
公開: 2026/08/18 執筆: QRUU 編集部
2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務になります。根拠法は男女雇用機会均等法で、同じ日に施行されるカスタマーハラスメント対策とは別の法律です。厚生労働省の調査を見ると、被害が起きているのは採用面接だけではありません。むしろ多いのはOB・OG訪問とリクルーターとの接触で、企業側はその実態をほとんど把握できていません。
何が義務になるのか
2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務になります。根拠は男女雇用機会均等法の第13条で、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)によって新設されました。
条文は、求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない、と定めています。相談を受け止める窓口を持つことが、条文に書かれた中心です。
同じ2026年10月1日には、カスタマーハラスメント対策も義務になります。こちらの根拠は労働施策総合推進法の第33条で、顧客等の言動から自社の労働者を守るための措置です。施行日が同じなので一緒に語られますが、法律も対象も別のものです。
対象になる「求職者等」の範囲は、省令で定められる
条文は対象を「求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの」と書いています。つまり具体的な範囲は法律本体ではなく、省令に委ねられています。インターンシップの参加者やOB・OG訪問の相手がどこまで含まれるかは、省令と、あわせて定められた指針を確認する必要があります。
一方で、行為者の側は条文にはっきり書かれています。「当該事業主が雇用する労働者による性的な言動」です。自社の従業員が行為者であれば、その接触が面接の場であってもOB・OG訪問であっても、事業主の措置義務の射程に入ります。
企業が把握している件数と、学生が経験している件数が合わない
厚生労働省の令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査によると、就職活動中にセクシュアルハラスメントを受けた経験があると答えた人は31.9%、インターンシップ中では30.1%でした。3人に1人という水準です。
同じ調査で企業側にも尋ねています。過去3年間に就活等セクハラの相談があったと答えた企業の割合は、どの業種でも3.0%未満でした。最も高い電気・ガス・熱供給・水道業でも2.9%です。
学生の3人に1人が経験しているのに、企業に届いている相談は3%に満たない。この差は、被害が起きていないことを意味しません。相談が事業主のところまで上がってきていない、ということです。義務化された措置の中心が相談体制の整備であるのは、ここに理由があります。
どこで起きているのか
同じ調査は、行為者の内訳も出しています。インターンシップ以外の就職活動中に被害を受けた人の回答です。
| 行為者 | 割合 |
|---|---|
| 大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員 | 38.3% |
| 学校・研究室等へ訪問した従業員、リクルーター | 37.0% |
| 採用面接担当者 | 25.1% |
| 志望先企業の役員 | 22.6% |
| 企業説明会の担当者 | 21.7% |
| SNSや就活マッチングアプリを通じて知り合った従業員 | 17.4% |
上位に来るのは、選考の外側にある接触です。OB・OG訪問とリクルーターとの面談で、あわせて回答の多くを占めます。採用面接担当者は25.1%で、決して小さくはありませんが、最も多い経路ではありません。
選考のプロセスを整えるだけでは、この上位2つには届きません。面接の運用を見直すことと、OB・OG訪問やリクルーター活動の行動指針を定めることは、別の作業です。ツールで手当てできる範囲にも限りがあります。
公正な採用選考の14事項とは、別の話
採用選考の場面には、もうひとつ気をつけるべき論点があります。厚生労働省が挙げている、就職差別につながるおそれがある14の事項です。本籍や出生地、家族の職業、支持政党、購読新聞といった、本人の適性・能力に関係のない事柄を尋ねないという考え方で、根拠は職業安定法などにあります。
これは就職差別の話であって、セクシュアルハラスメントとは別の論点です。根拠法も違えば、対象になる言動も違います。面接官への注意喚起をまとめるときに、この2つを同じリストに並べてしまうと、どちらの理解も曖昧になります。分けて扱うほうが確実です。
なお厚生労働省は、これらに限られるわけではありません、と付記しています。14の事項を避ければ問題がない、という趣旨のリストではありません。
QRUUの場合
ここまで見たとおり、この義務化に対して採用ツールができることは、実態の一部にとどまります。QRUUが関わるのは採用面接の場面だけで、OB・OG訪問やリクルーターとの接触には届きません。そのうえで、面接についてお伝えできることが2つあります。
ひとつは、AI面接では面接官が同席しないことです。応募者はリンクを開いてAI面接官と話すので、この時間に面接官と応募者が二人で向き合う場面はありません。ただしQRUUは人による面接のステージも持っていて、面接から人を無くす仕組みではありません。
もうひとつは、面接のやりとりが記録として残ることです。会話の全文と評価レポートは、管理画面からPDFでダウンロードして保管できます。相談があったときに、何を尋ねて何を答えたかを確かめられる形になります。一次面接をどこまで任せられるかは、一次面接を自動化する方法で整理しています。
なお、面接官の練習という機能では、練習した面接の所見として、先ほどの就職差別につながるおそれがある事項に触れていなかったかを振り返れます。こちらはセクシュアルハラスメントとは別の論点への備えです。
QRUUは防止措置そのものを代行するものではありません。方針の明確化や相談体制の整備は、各社での対応が必要になります。この記事は制度の紹介で、個別の対応方針については社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
よくある質問
- 就活セクハラの防止措置は、いつから義務になりますか?
- 2026年10月1日からです。根拠は男女雇用機会均等法の第13条で、令和7年法律第63号による改正で新設されました。同じ日にカスタマーハラスメント対策も義務になりますが、こちらは労働施策総合推進法にもとづく別の措置です。
- 対象になる「求職者等」には、インターンシップの参加者も含まれますか?
- 条文は「求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの」と書いており、具体的な範囲は省令に委ねられています。省令とあわせて定められた指針をご確認ください。なお行為者の側は「当該事業主が雇用する労働者」と条文に明記されています。
- 就活セクハラは、採用面接で起きているのですか?
- 厚生労働省の令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査では、インターンシップ以外の就職活動中の行為者として、大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員が38.3%、学校・研究室等へ訪問した従業員やリクルーターが37.0%、採用面接担当者が25.1%でした。面接も含まれますが、最も多い経路ではありません。
参考にした一次情報
本記事は上記の公的な情報をもとに、採用担当者向けにかみくだいて解説しています。制度の詳細や最新の内容は、必ず出典元をご確認ください。 執筆方針は編集方針をご覧ください。