DX戦略

株式会社テクヌートは、データとデジタル技術の活用を経営の中心に置き、自社の業務そのものを継続的に作り変えることで、判断の速さと再現性を両立させることを目指しています。

1. 経営ビジョンとビジネスモデルの方向性

経営ビジョン ——「採用の民主化」

企業規模・地域・業種を問わず、すべての企業が公平・効率的・適切な採用判断を下せる社会の実現。これを当社の経営ビジョンとします。

代表取締役は、放送局向けの映像システムの技術者として24年間、日本と海外で仕事をしてきました。転機は2008年からの2年間です。青年海外協力隊としてザンビア共和国の国営放送局(ZNBC)技術局に赴任し、現地のエンジニアと一緒に放送設備のデジタル化を進めました。彼らは限られた予算と機材のなかで、それでも誇りを持って自分の職務に向き合い、「学ぶ機会・働く機会」を渇望していました。人が仕事に出会えること。企業が必要な人を見つけられること。当たり前に見えるこの営みが、実は社会全体の活力を決めているのだと、あの土地で知りました。

帰国後、日本の中小企業の採用現場と向き合うなかで、同じ困難が別の形で存在することを確認しました。中小企業の経営課題のトップは人材確保です(中小企業庁「2025年版 中小企業白書」)。大卒求人倍率は従業員300人未満で6.50倍、5,000人以上で0.34倍と、中小企業は構造的に不利な側に置かれています(リクルートワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」)。加えて採用担当者の72.4%が他業務と兼務で、採用専任は24.1%にとどまります(Indeed Japan「採用担当者の業務実態に関する調査」)。

人事の専任を置けない会社では、経営者や現場の責任者が本業の傍らで面接に追われ、対応が遅れて応募者に逃げられ、辞めるたびに採用をやり直しています。一次面接をAIに任せて、この悪循環を断つ。これが当社の解くべき課題です。

生成AIと音声技術の実用化により、これまで人にしかできなかった対話と評価の一部を機械が担えるようになりました。AI面接の効果は大手企業で既に実証されていますが、その価格帯は人事専任を置けない企業には届いていません。当社は、この技術を規模の小さい企業でも扱える価格と運用のかたちにして届けることを事業の中心に据えます。この変化を「人の仕事を減らすもの」ではなく「人の判断を、根拠のあるものに変えるもの」と捉えています。

まずは中小企業から。ゆくゆくは、若年層の流出に悩む地方の採用力の底上げにまで広げていきます。

ビジネスモデルの方向性

上記のビジョンを実現するため、次の2点に事業を集中させます。

  • 採用担当者の工数を減らす— 日程調整・一次面接・評価という、これまで人が時間を使ってきた工程を、対話型AI面接官と採用管理システムで自動化します。人が動くのは二次面接から。担当者は本来の仕事に戻れます。
  • 応募者の離脱を防ぐ— 応募の熱量が高いその場で、24時間・場所を選ばず面接を受けられるようにします。日程調整の往復も、平日日中の来社も要らないため、在職中の方や子育て中の方も受けやすく、いい人を他社に先に採られません。

この2点は、いずれも応募者情報・面接の記録・評価を同一のデータ基盤に集約し、対話と評価をAIが担うことで成立します。蓄積した選考データは、誰がどの基準で判断したかを後から辿れる形で残し、次の採用計画の判断材料として活用します。

2. DX戦略

上記の2点は、提供する側が人手を積み増して支える形では成り立ちません。24時間動き続ける仕組みを、止めず、間違いを混ぜずに回し続ける必要があるためです。そこで当社は、ビジネスモデルを実現する前提として、まず自社の業務そのものをデータとデジタル技術で作り変えています。人が判断に専念できるよう、判断以外の工程——実行・検査・記録・配信——を機械へ移し、判断の根拠を必ず残すことを戦略の柱とします。

戦略1. 開発・運用オペレーションのAIエージェント化

設計・実装・調査・文書作成の各工程を、AIエージェントとの協働を前提とした手順に置き換えています。作業の指示と判断基準、過去に起きた不具合とその原因を構造化したテキストとして蓄積し、エージェントが毎回それを参照して作業する形にしました。これにより、担当者の記憶に依存していた「前回どう決めたか」が資産として残り、同じ検討を繰り返さずに済むようになっています。

戦略2. 品質保証の自動化と、規約違反の機械的な遮断

過去に発生した不具合を回帰試験として蓄積し、変更のたびに全件を自動実行しています。加えて、過去に事故につながった実装パターン(データ破壊につながる更新方法、実行環境の指定漏れなど)を機械が検知して警告・遮断する仕組みを開発フローに組み込みました。「気をつける」という運用ではなく、違反した時点で手が止まる形にしています。

戦略3. 社内の運用成果物の自動生成と自動配信

オンラインマニュアルの索引、経営者向けのタスク一覧、開発の残件一覧、蓄積した知見の索引を、いずれも元データから自動生成し、更新を検知して配信するところまでを自動化しました。手作業で作り直していた頃は、配信を忘れた分だけ手元の情報が古いまま残っていました。生成と配信を機械に移したことで、その種のずれが構造的に起きなくなっています。

戦略4. 事業データの一元化と、意思決定の根拠化

問い合わせ、ウェブサイトの行動データ、サービス内の利用状況を同一の基盤に集約し、施策の判断材料として使える形に整えています。会計についても外部サービスのAPIと接続し、記帳と実績の把握を同じデータから行う形へ移しました。勘に頼っていた判断を、集めたデータで検証できる状態にすることを目標としています。

3. DX戦略を推進する体制とデジタル人材の育成・確保

推進体制

代表取締役をDX推進の最高責任者とし、戦略の策定、投資判断、実行の各段階に責任を持ちます。当社は取締役会非設置会社であり、本戦略は取締役の決定に基づいて策定・公表しています。

実行体制は、開発・品質保証・文書作成・データ分析の各業務を、代表取締役とAIエージェント群が協働して担う形をとります。加えて、意匠設計、販路開拓、ソフトウェア開発の各領域については、外部の専門パートナーと継続的に協業しています。機械に任せられる工程は機械へ移し、専門性が要る領域は外部と組み、社内には判断とその責任を残す——これを体制設計の基本方針とします。

デジタル人材の育成・確保

  • 経営者自身の継続的な技術習得— 代表取締役はクラウド、情報処理、機械学習の各分野で資格を取得しており(AWS Certified Cloud Practitioner、基本情報技術者、ITパスポート、JDLA G検定)、技術判断を外部に丸投げしない体制を維持します。
  • 一次情報にあたる運用のルール化— 技術的な判断は、伝聞や要約ではなく提供元の公式文書で確認することを手順として定めています。判断の根拠と実測した結果は、次に同じ検討をする人が読める形で残します。
  • AI協働を前提とした育成— 今後の増員にあたっては、AIエージェントとの協働を前提とした業務設計と教育を行い、蓄積した判断基準をそのまま学習材料として活用します。

4. ITシステム環境の整備に向けた方策

  • サーバー運用を持たない基盤— 実行環境にはエッジ実行基盤を、データベースにはマネージドサービスを採用し、サーバーの保守そのものを業務から除いています。データは国内(東京リージョン)に保管します。
  • 設定と規約のコード化— 権限、公開範囲、料金プランの上限などの設定値を実装の1か所に集約し、機械が検査できる形にしています。同じ値が複数箇所に散らばることを、設計上の欠陥として扱います。
  • 変更から本番反映までの自動化— 型検査・自動テスト・ビルド・本番配信を連続した自動処理として構成し、人手による反映作業を挟みません。
  • データを活用するための基盤整備— 利用状況、問い合わせ、ウェブサイトの行動データを同一基盤に集約し、社内の分析画面から横断して参照できる形に整備を進めます。
  • 投資方針— 売上規模にかかわらず、品質保証の自動化とデータ基盤の整備を投資の優先領域とします。人を増やして対応する前に、機械に移せないかを先に検討することを判断基準とします。

5. 成果指標

DX戦略の達成度を、次の指標で測ります。数値はいずれも2026年8月時点の実測値です。

指標現在値(2026年8月目標対応する戦略
再発防止のために構造化して蓄積し、以後の作業で自動的に参照される判断基準・失敗事例の件数378件2027年3月までに450件。事故が起きた案件は必ず1件として登録する戦略1
自動で実行される回帰試験の件数10,339件(705ファイル)過去に発生した不具合は必ず回帰試験として残し、件数を減らさない戦略2
オンラインマニュアルの網羅率(利用者が操作する機能面のうち解説記事があるもの)100%(59面中59面)機能を追加しても100%を維持する戦略3
自動生成・自動配信に移した社内の運用成果物5種類2027年3月までに7種類戦略3
経営判断に使う指標を、同一データ基盤から自動生成されたレポートで参照できる業務領域の数3領域(マーケティング・問い合わせ・販売パートナー)2027年3月までに5領域(会計・サービス利用状況を追加)戦略4

各指標は四半期ごとに実測し、目標との差が続く場合はDX戦略そのものを見直します。見直しの結果は本ページに反映します。

6. 代表取締役メッセージ

当社は、採用という「人の人生に関わる領域」で製品を提供しています。誰かの合否がかかる場面に道具を差し出す以上、その道具を作る側の仕事にも、同じ水準の品質と説明責任が要ると考えています。

そのために選んだのが、自分たちの仕事のやり方を先に作り変えることでした。機械に任せられる工程は徹底して機械に移し、人は判断と、判断の理由を残すことに専念する。この数年、当社が最も時間を使ってきたのはその設計です。過去に起きた失敗はすべて自動試験として残し、同じ間違いを二度と通さない仕組みにしてきました。

私たちが提供するAI面接は、この考え方をそのままお客様の採用業務に持ち込むものです。人の判断を機械に置き換えるのではなく、判断に必要な材料を、抜けなく、同じ基準で、待たずに揃える。それが当社の考えるDXです。

自社で先に実践していないことを、お客様にお勧めすることはしません。本ページに書いた戦略と指標は、そのための自らへの約束として公表します。

株式会社テクヌート
代表取締役 平見 壮臣

本DX戦略は、2026年8月27日付で取締役の決定により策定し、同日、当社ウェブサイトにて公表しました。当社は取締役会非設置会社であるため、取締役の決定をもって機関決定としています。
公表日: 2026年8月27日/最終更新日: 2026年8月27日
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