面接の評価基準の作り方 — 「人柄」「熱意」を測れることばに直す

公開: 2026/08/25 執筆: QRUU 編集部

面接の評価基準づくりの核心は、ひとことで言えば「観察できる行動のことばに直す」ことです。「コミュニケーション力」「主体性」のような言葉を評価項目にそのまま使うと、面接官ごとに思い浮かべるものが違い、同じ応募者への評価が割れても、どちらが確かか確かめようがありません。この記事では、評価項目を行動のことばに割る手順と段階別の目安の書き方を、職種別の記入例つきで説明します。紙とペンがあれば今日から作れます。

評価基準がない面接で起きること

評価基準を決めずに面接をすると、面接のあとに残るのは「コミュニケーション力が高い」「人柄が良さそう」といった総評だけになりがちです。この記録には、あとから困る性質があります。一次面接と二次面接で評価が割れたとき、どちらの見立てが確かかを検証する材料がないのです。「高い」と書いた面接官が何を見てそう判断したのかが残っていないため、話し合っても印象と印象のぶつけ合いになります。

評価基準を先に決めておくと、この構図が変わります。全員が同じ観点で見て、観点ごとに点数と根拠を残すので、評価が割れたときに「どの観点で、何を見て、そう付けたのか」を並べて確かめられます。面接の進め方全体の設計は構造化面接とはで、評価をゆがめる思い込みの側は面接官が陥りやすい6つの認知バイアスで解説しています。この記事は、そのうち「評価基準」だけを深く扱います。

見えないものを、見える行動で測る

評価基準づくりで最初に押さえたいのは、面接で直接見えるものと見えないものの区別です。知識や経験、話し方は、会話の中に表に出てきます。一方で、性格・価値観・仕事へのスタンスといった、採用でいちばん知りたいものは、水面下にあって直接は見えません。

見えないものを「人柄」「熱意」という言葉のまま評価しようとすると、面接官は印象で埋めるしかなくなります。手がかりになるのは、水面下のものが行動として表に現れた瞬間だけです。「困っている同僚に自分から声をかけた」「客からの指摘を翌日の段取りに反映した」。こうした行動は会話から確認でき、記録に残せます。だから評価基準は、知りたいものを「観察できる行動」のことばに割ってから書きます。

作り方の3ステップ

やることは3つです。求人ごとに、30分から1時間ほどで最初の版が作れます。

  • ステップ1: この求人で活躍している人の行動を書き出す — いま現場で活躍している人を思い浮かべ、「何をしているか」を動詞で挙げます。「明るい」ではなく「来店客に自分から声をかけている」のように書きます
  • ステップ2: 行動を3〜5つの評価項目にまとめる — 挙げた行動を近いものどうしでまとめ、項目の名前を付けます。名前は抽象語でも構いませんが、中身の行動とセットで初めて意味を持ちます
  • ステップ3: 項目ごとに段階の目安を書く — 「基準に届かない」「合格の目安」「文句なし」の3段階から書き始めます。どの段階も、行動のことばで書きます

順番が大切です。よくある失敗は、先に「コミュニケーション力・主体性・協調性」と項目名を決めてから中身を考えることです。この順番だと、どの求人でも同じ項目が並び、結局その求人で何を確かめるべきかが決まらないまま面接に入ります。行動から出発すると、項目は求人ごとに自然と違うものになります。

記入例 — 同じ「コミュニケーション力」でも、職種で中身が違う

行動に割る作業がイメージしやすいように、同じ「コミュニケーション力」という項目を3つの職種で割った例を挙げます。

「コミュニケーション力」を観察できる行動に割った例(職種別)
職種観察できる行動のことばにした評価項目の例
営業職相手の質問に結論から答えている。専門用語を相手に合わせて言い換えている
接客・販売注文や指摘を復唱して確かめている。忙しい時間帯でも依頼を後回しにせず一言返している
エンジニア分からない点を放置せず、確認すべき相手を特定して聞いている。込み入った内容を順序立てて説明している

同じ言葉でも、確かめるべき行動は職種でこれだけ違います。評価基準を全求人で共通にすると、この違いが消えてしまいます。項目名は共通でも構いませんが、行動への割り方は求人ごとに考えてください。

段階の目安まで書いた例も挙げます。営業職の「わかりやすく説明する力」なら、基準に届かない=「質問と違う話が続き、聞き直しても要点が出てこない」、合格の目安=「結論から答え、理由をひとつ添えて説明できる」、文句なし=「相手の理解度に合わせて言い換えながら、込み入った内容も説明できる」のような形です。3段階が埋まれば、面接官が違っても同じものさしで採点できます。

よくあるつまずきと直し方

評価基準づくりのよくあるつまずき
つまずき何が起きるか直し方
評価項目が多すぎる1項目あたりの確認時間が足りず、全項目が中途半端な浅さになります3〜5つに絞ります。この面接では確かめないと決めた項目は、次の面接に割り当てます
抽象語のまま運用する面接官ごとに測っているものが違い、評価が割れても検証できません各項目に「観察できる行動」を最低ひとつ書き添えます
段階の目安がない同じ行動を見ても、人によって3点にも4点にもなりますまず「基準に届かない・合格・文句なし」の3段階だけ書きます
本人の適性・能力と関係ない項目を入れる家族構成や住まいの事情などを評価に混ぜると、公正な採用選考から外れます評価項目は職務に必要な適性・能力に限ります

最後の点は特に重要です。厚生労働省は、採用選考を応募者の適性と能力にもとづいて行うことを基本として示しています。評価基準を文書にする作業には、適性・能力と関係のない観点が紛れ込んでいないかを点検する機会という側面もあります。

作った基準を、面接の場で「使われる」状態にする

評価基準は、作ることより使われ続けることのほうが難しい道具です。よくあるのは、丁寧に作った基準表が共有フォルダに眠り、面接の場では誰も開いていない、という状態です。基準は、採点するその瞬間に目の前にあって初めて働きます。

QRUUの場合、求人の選考段階ごとに評価項目と段階別の目安を設定しておくと、面接官が評価を入力する画面で点数を押した瞬間に、その点数の目安が表示されます。最低点や最高点を付けたときは、根拠となる行動・発言の記入を求めるので、「なんとなく1点」が残りません。面接官どうしで評価の向きが割れたときは、項目ごとの点数と根拠を横並びで見比べられます。

AI面接も同じ考え方で動きます。評価項目ごとに段階別の基準を設定すると、AIがその基準に照らして採点し、根拠となる応募者の発言を引用つきで残します。人の面接とAI面接のどちらでも、「基準を作れば、その基準で運用される」状態を保てます。ツール選びの観点はAI面接ツールの選び方にまとめています。

よくある質問

評価項目はいくつくらいが適切ですか?
1回の面接につき3〜5つをおすすめします。面接時間は限られているので、項目が多いほど1項目あたりの確認が浅くなります。6つを超えるようなら、この面接で確かめる項目と、次の面接に任せる項目に分けてください。
「カルチャーフィット」はどう評価基準にすればよいですか?
自社の価値観を行動のことばに割ってから項目にします。たとえば「挑戦を大切にする」が価値観なら、「うまくいかなかった経験を、自分の判断まで含めて具体的に話せる」のように、会話から確認できる形に直します。価値観の言葉のまま項目にすると、印象採点に戻ってしまいます。
段階の目安は何段階まで書き込めばよいですか?
まず「基準に届かない・合格の目安・文句なし」の3段階で十分です。すべての段階を最初から埋めようとすると作業が重くなり、完成しないまま面接が始まります。運用しながら、判断に迷った実例を目安に書き足していくと、基準が育ちます。
選考の途中で評価基準を変えてもよいですか?
同じ求人の選考が動いている途中の変更は避けてください。変更の前後で応募者を同じものさしで比べられなくなります。見直しは求人の区切りで行い、変更した場合はいつから変えたかを記録しておくと、あとから評価を見返すときに混乱しません。

参考にした一次情報

本記事は上記の公的な情報をもとに、採用担当者向けにかみくだいて解説しています。制度の詳細や最新の内容は、必ず出典元をご確認ください。 執筆方針は編集方針をご覧ください。